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静岡県すし組合 NEWHOME

すしの技術sushi-skill

光もの

新子

最近は季節感が崩れている。 光物と言えば9月〜2月までコハダ。3月〜4月サヨリ。初夏の5月〜6月はキス。 真夏の7月〜8月はアジ。 しかし一年中魚市場にコハダがあるからすし屋は仕入れする。アジも同様である。 夏にコハダを漬けるすし店は昔は無かった。勿論魚市場にも無かった。 夏場の光ダネはアジが最高に美味しい。 旬の魚は安くて美味しい。現在アジの酢〆するすし店は少なくなった。 昔のように甘味のオボロをかませるすし屋があってもいいのではないか。 (現在酢のきき過ぎたアジはオボロをからめると良い) アジのゼンゴは必ず包丁をいれ身をつけずにそぎ取っていく技術は今は必要としない。 それは全てアジは生で握るのが主流なので皮をむくもとなっているからゼンゴを そぎとる必要が無いからである。 これも時代のニーズであろうか?。


穴子の煮方

煮穴子

7月中旬〜9月初旬までが江戸前アナゴが美味しく召し上がれる季節です。昔は羽田、大森、生麦、浦安のアナゴが代表的な産地でした。 多摩川、荒川の水が流れて、真水が多く。一方江戸川の水が流れる千葉県側は塩分が強いとされていた。 したがって江戸前のアナゴでも潮の流れで羽田沖と千葉県沖では違うと言われている。 東京浅草の老舗すし店ではメソアナゴと言って15〜20センチ位の丸付けの穴子を好みます。 水でぬめりを取って、鍋に白砂糖、酒、薄口醤油を入れ、沸騰したらアナゴを10本〜15本位入れ、落し蓋をする。 叉、沸騰したらアナゴを表裏返して、ザルにあけて冷まして白く煮る。この煮方を「さわ煮」と言います。 一方アナゴが40〜50センチ位のアナゴは煮方が違います。霜降り、水炊き(30分)煮る(30分)弱火で1時間の工程です。 蓋をしたまま煮汁が冷めるまで置きます。 そうしますと骨は柔らかくなり、味も滲みこみます。この煮方を「漬け込み」と言います。
アナゴを選ぶ場合、肉質が厚く、皮目が黄金のごとく脂がのり、小骨が気にならない 一尾300gから400gのサイズを魚市場から仕入れします。 さばくにはウナギの骨は平骨で、ウナギ専用の包丁を使いますが、アナゴの骨は三角ですので、 これを出刃包丁でさばくのですから素人包丁では無理です。 いっきに骨を切りにいくのですが、包丁の角度によっては骨を途中で切ってしましますとサァ大変です。 再度包丁を入れて切るのですが、この時、小骨が残り又、身をそいでしまうことがあります。 美しく、滑らかな姿に仕上げてこそ美味しく煮ることが出来るのですから上手にさばくには数をこなことです。
旬のアナゴや上物のアナゴであれば脂肪が多い。 それだけ、アナゴの肉質(たんぱく質)の繊維の間に脂肪が入り込んで収縮がゆるやかになり、柔らかく煮上がる。 しかし、旬以外や、産地によっては身が固くパサパサして脂が薄く柔らかく煮上げることが難しい時には、 酒を加えざるをえなくなってきているともに、前に煮たアナゴの出した脂の煮汁を注ぎたして煮ないと しっとりした具合に煮あがらないのです。
アナゴの煮汁は濾して冷蔵庫に入れて保存しておきます。 次のアナゴを煮る時に継ぎ足し用に、又、煮ツメ(タレ)をつくるのに使います。 煮ツメは焦げ付かないようにじっくり弱火でコトコトと煮詰めるわけですから、その場を離れるわけには行きません。 このし仕事には人がかかりっきりとなるので暖簾を入れてからの仕事になります。 アナゴをさばいてから煮ツメをつくるまでの仕事はすしネタの中では一番手間隙のかかる仕事となります。


煮たこ(桜煮)

煮たこ

用途に応じてマダコ、水ダコを仕入れします。 水タコは大きいので握りに合うサイズのものを慎重に選びます 桜煮の作り方は塩でもんでから塩出をする。 沸騰した湯に足をくぐらせて霜振りをする。 別の鍋に酒と水をいれ沸騰させる。 煮立ったら足から入れる。 ザラメ・醤油・小豆を入れる 沸騰したら弱火にして、50分間じっくりと煮込みます。


     

ヒラメの昆布〆と酢〆

寒中のヒラメは昔から美味です。逆に晩春から夏場にかけてのヒラメは旨味がいまいちです。通常の仕入れよりロット数が多くて、使い切れない場合があります。
そんな時は昆布〆と酢〆の二通りの仕込みをします。 これは、古い昔ながらの仕事なのです。
ヒラメの仕込み
1. コケラをひき、頭をおとし、臓物をとりだす
2. 節どりする。皮を引く(エンガワを切り取る)
昆布〆と酢〆の方法1.
焼き塩で両面に均等に薄く振り塩します。1時間〜2時間大きさにより塩加減の時間を調整する
2. その後、アク抜きにより、水分がにじみ出てきます。
3. 布巾で水分と塩をふき取るか又は水をかけて振り落とす。
4. 水分を布巾でとる。この塩梅が重要です。(塩気を完全に抜きき取らないこと)
5. 板昆布を敷きヒラメをのせその上にもう一枚の板昆布をのせます軽く押さえます。
6. 昆布〆を1時間程度いたします
7. 昆布を使うことは空気に触れないようにする為なのですが、 更にビニール袋に入れて保管することをお勧め します。
8. 用途、量的対応により、酢〆をしてもよい
9. ヒラメを酢に20分位漬けます(大きさにより時間調整する) 後に 酢を軽く拭き取ります。
握る際に高価ですが「ガゴメ昆布」の「とろろ昆布」を添えて握るのも一考です。


玉子焼

厚焼き玉子

1、玉子焼き(薄焼き玉子)は「つぶし」の生身・白身魚・海老 をすり身して、「わり」の砂糖、酒、塩、味醂、醤油を玉子で割って焼きあげます。 焼き方は長めの菜箸と脱脂綿を使い玉子鍋に食用油で皮膜を作り熱くなっている玉子鍋を適温まで下げ(手のひらを当てて感じ取る温度は長年の経験で判断)玉子液を入れ、弱
火で焼きあがってきたら、さい箸でクルクルと玉子鍋と玉子の間をはがし、表面に未だ焼けないで残っている玉子液を下の鍋に落とし、玉子全体をさい箸二本でひっくり返します。この瞬間は職人技・名人芸です。専用の落し蓋で焼きを待ちます。 柔らかさでは出し巻玉子には及ばないが深い味わいがあります。 玉子焼きとは昔から薄焼き玉子のことでして、厚焼き玉子が作られてくるようになったため薄焼き、厚焼きと区別するようになりました
2、厚焼き玉子(カステラ風)は薄焼き玉子の調合の2倍の量で焼きます。今の鶏卵はほとんどが養鶏です。 以前は放し飼いの鶏でしたので焼き上げた玉子焼は本当に美味しかった。 鮮度の良い鶏卵が不可欠で美味しさの価値を生み出します。 玉子焼きは鶏卵12個・海老・大和芋等を使い、だし汁は使用しません。表面の部分は空気を抜きながらじっくりと1時間かけて焼きます。 おまかせ握りで最後の仕上げとして、鞍かけ(合掌づくりの屋根の形をしたタマゴ)にしてタマゴ焼きの握りが供されます。 味の奥ゆきは深く、ひかえめな甘さが舌にひろがると「今夜はこれで終わり」と告げられ最高なった気分で、立ち食いの醍醐味が楽しめます。
3、出し巻玉子は玉子と「わり」と言いますだし汁、砂糖、塩、醤油を使い何回も重ねて全体としてフンワリと仕上げます。 本来は日本料理でお出ししていた玉子焼きでした。鮨の玉子焼きではなかったのですが、現在は7割くらいのお店がこの玉子焼を使っております 河岸玉と言って専門業者から仕入れするか自家製かはそれぞれです。


コハダの塩と酢〆

コハダ

美味しさの決め手
1、素材のコハダは「めまわり」が揃っている
注:「めまわり」とは魚一尾の大きさのこと コハダは脂ののり具合、厚さ、大きさ、季節(温度)により塩の時間をどの位にするか決めるので、 「めまわり」が揃っていて、鮮度の基準は目玉がみずみずしいスカイブルー色をしたコハダを選ぶこと
一貫のにぎりに一尾のコハダが使用される大きさが理想 幼魚の新子は8月〜9月頃で一貫で3尾使う
2、振り塩の時間は長年の勘で塩加減を決める大きめなザルに背の方を下にして荒塩で振り塩します。 塩加減はコハダの条件に合わせてカンで決める 親方から教わった職人の門外不出の塩加減。シャリの調合の塩も同様
3、水洗い 塩塩出したコハダコハダの表面の水分とハコダから出た余分な脂肪分を洗って流します そうしますと酢がしみこみやすくなりす
4、「酢洗い」を二番酢で酢洗いをする
注:二番酢とは前回本漬けで使用し残しておいた酢叉は、水と酢を同量で混ぜた酢  コハダは青魚の生臭さがありますので本漬けの前に生臭さを取ために一枚一枚ゆすぎます
 ゆすいだコハダ5枚位重ねて手のひらで押して余分な酢をきり、30分位おきます  ポイント  酢洗いをきちんととすれば生臭はなくなり、美味しいはここで決まります
5、本漬けは一番酢で漬ける つけ具合は時間に頼らないで自分の目で見て決める 職人により時間に差異があります。余分な酢を切り馴染ませる為一晩以上立てかけて冷蔵庫に入れておきます
2日目に召し上がるコハダが一番で、当日には握らない事です。
修行時代、魚を最初に扱わせてもらうのがコハダで、江戸前の鮨の技術の基本中の基本です 。コハダの脂・塩・酢の調和でお客様に満足いただける江戸時代から変わらぬ粋を見せる伝承加工技術です


参考文献 著者 吉野f雄 「すし技術教科書」